会長挨拶

子ども自身の参加

OMEP日本委員会会長  藤井 修(たかつかさ保育園)


 子どもたちにこそ平和で自由な世界に生きてもらいたいと願わない人はいません。そのことを世界の共通の理念として謳ったのが1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」だと思います。日本政府が批准したのが1994年。翌年の1995年に、OMEP世界大会が横浜で開催されました。
 私がOMEPと出会ったのはその時が最初です。分科会の発表が終わった直後、座長のスウェーデンのべクストレムさんから、My Rightsというパンフレットを頂きました。地球の上に様々な民族や車いすに乗っている子どもたちの絵が最初のページです。それには、All children are important, so am I.というキャプションがありました。「5歳から8歳までの子ども自身が、自分にはどんなrightがあるのかを知るためのものなので、日本でも大いに活用してほしい」と手渡されました。10枚の挿絵で子どもの権利の核心が表されています。腕組みをした男の子の絵には、I have the right to say what I think.が添えられています。子どもの権利条約を身近に知った瞬間でした。今日、この子どもの権利条約をあらためて意識するうえで大切なことは、子どもを保護(protection)する対象と見ることや、大人世代からさまざまの供与(provision)を受ける対象にとどまらず、子ども自身が積極的に大人社会に参加(participation)する権利を獲得したことにあると言われています。
 今年度の日本委員会年次総会にお招きしたOMEPアジア太平洋地域副総裁でいらっしゃる韓国・梨花女子大学Park Eunhye (朴恩惠)さんの記念講演「ESD in Early Childhood Education and OMEP」を拝聴して、この「参加」という概念を、見事に保育園の保育実践として子どもたちの現実の生活に活かしておられることを学ぶことが出来ました。
 ESDについては、今年11月にユネスコ世界大会が愛知で開催されることで関心が高まってくる気運を感じますが、まだまだ保育現場では耳新しく、その実践例も環境教育との関係で語られることが少なくありません。その点を、朴さんは、エコロジカルな概念や自然環境の学びだけでなく、社会、経済的視点を加えること、つまり平等性、社会的公正、文化的ステレオタイプの克服などを含む総合的な概念と解説され、ダイナミックにカリキュラム化した事例を示してくださいました。総会翌日の、「幼児期における持続可能な開発のための環境評価スケール(OMEP ESD Rating Scale)」学習会では、より具体的に実践の方向性が示されました。中でも注目したことは、「経済的持続性の取り組み」を評価する尺度に、子どもたち自身の園生活のなかで、「教材の購入についても子どもが意思決定に参加しているか」を問う項目があることでした。実践例としてはウサギをもう一匹買う時の費用を一旦立て替えてもらったうえ、自分たちの主催するバザーで返済するという取り組みが行われていたことです。私たちの園でのお買いものごっこは遊びの世界で完結していますが、朴さんの園では現実に社会との結びつきが明確です。学習会後、「お買いものごっこ」ではない実践に感心したことをお話したところ、「子どもたちが将来、Critical Consumerになることをめざしています」とおっしゃいました。OMEP活動の魅力は、このように今日のグローバルな課題を直接海外の会員と接して考えあうことができる点です。皆様にとってOMEP活動がそうした経験を豊富に得られる場となるよう取り組みたいと存じます。

2014年5月

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