会長挨拶

コロナと共に生きる時代に、幼児教育・保育の再考を

OMEP日本委員会会長  上垣内 伸子(十文字学園女子大学)

 

 すでに半年以上となる世界規模のCOVID-19との格闘との日々に追い打ちをかけるように、日本各地の大雨と水害・土砂災害等の被害が報じられております。心からお見舞い申し上げ、また、連帯を呼びかけたいと存じます。

 OMEP日本委員会の2020-2022年の体制は、1月にスタートしました。2018年のOMEP加盟50周年、2019年のOMEP-APR京都大会開催を経て、日本の幼児教育・保育の中で、OMEPの存在価値を一層明確にしていくことを願っての出発でした。「OMEPのミッションを明確に-乳幼児期からの持続可能な開発のための教育(ESD)と子どもの権利(Children’s Rights)の発信」を活動スローガンとし、ESDとCRCの理解と促進を2本柱に、幼児教育・保育に世界的な視点をもって取り組み、子どもの幸せを希求することを目指したのです。ところが、COVID-19のパンデミックによって世界の様相はそれまでとは全く異なるものとなり、このスローガンもまた、それが示すところの意味合いが大きく変わることとなりました。東日本大震災によって引き起こされた放射能災害が、子どもと保育から自然を奪い、ESDおよび持続可能な社会の在り方自体を変えたように、COVID-19の世界的流行もまた私たちに、コロナと共に生きる社会におけるサステナビリティとは何か、根本からのとらえ直しを迫っていると言えます。“SDGs”(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)も、2030年までには実現が困難となったと報道されています。SDGsに掲げられた貧困や飢餓、健康な生活の保障、安全な水と衛生へのアクセスといった目標は、これまでは、途上国や難民に対する支援のようにとらえられていた面がありました。けれども、この持続可能な開発目標のどれもが、私たちが自分自身の住む社会において取り組むべき課題として立ち現れたのです。世界OMEPでは、2011年から取り組んでいた“Wash from the Start”プロジェクトに新たな意味を与え、あらためて取り組んでいくこととなりました。このように、幼児教育におけるESDをもう一度考えていくことが必要です。UNESCOは4月に、ポストコロナ社会の教育システムの変更を見越したSDG4の改訂を提案しています。
 もう一つの活動の柱としている子どもの権利(CRC)についても、同様のことが言えます。この危機的状況においてこそ、私たちは子どもの権利擁護者として声をあげることが求められているのではないでしょうか。未来の担い手である子どもを中心においてこれからの社会の在り方を考え、施策に反映させていく必要があるということを。OMEPのコロナ時代の幼児教育・保育の保障に関する声明書(Position Paper)は、まさにそのことを強調しています。ホームページには、日本語による全文訳を紹介しています。皆で読み合い、政策担当者やまわりの保育関係者に声を届けていきましょう。
 子どもが環境と主体的に関わり育つことを幼児教育・保育の基本におく私たち保育関係者には、その環境が大きく変わった今、何を大切に保育するか、原点に立ち戻って考えることが求められています。危機は、大いなる知恵を授けてくれるものでもあります。今こそ、世界の仲間と共に、子どもの幸福を希求し、持続可能な社会を築いていこうではありませんか。

2020年8月

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